●高周波誘導加熱装置の原理について

目次
□電気を磁気に変換して加熱する

□加熱させるには交流電源!

□誘導加熱と周波数について




□電気を磁気に変換して加熱する

まず、高周波誘導加熱とは『電気と磁気(電気を磁気に変換)を利用して加熱している』ものです。
なかなか実感しにくいものですので、順を追って説明していきたいと思います。



まず電気を磁気に変換するとは?どういう事か?「電磁石」について

電磁石参考写真

↑電磁石 参考写真(子供の頃作った事ないでしょうか?)
注:写真の様に簡易接続すると発熱しヤケドする場合がございます。
ご注意願います。                  


子供の頃、工作の時間に経験された?と思いますが、鉄の釘にエナメル導線の様な電線をくるぐる巻き付け、その導線(電線)の両端に乾電池を繋ぐと導線を巻いた鉄の釘に、クリップ等の鉄製品がくっつく様になるというものです。
これを『電磁石』といい、電気(電流)を磁気(磁力)に変換しているのです。

簡単に説明すると、電流を流した導線(電線)の周りに磁界が発生し、それを釘に集めて鉄をくっつける磁力を生んでいるのです。



では、電気を流すとどの様な磁界が発生するのか?

導線周りの磁界断面図

↑導線周りの磁界断面図

まずは一本の長い導線電流を流した場合を考えます。
導線に電流を流すとその導線を中心とした同心円の磁界が発生します。それは導線に近いほど磁界は強くなります。
又、導線に流す電流を大きくすると磁界は強くなります。







磁界には向きがある!
右ネジの法則 右手の法則 解説図

↑右ネジの法則 右手の法則 解説図

磁界には向きがあり電流の流れる向きと関係しています。
その向きは”右ねじの法則”、”右手の法則(アンペールの法則)”でよく説明されております。(双方、同様の説明をする為の例)

右ねじの法則ではねじを締め込んだ時のねじの進む方向が電流の向き、ネジの頭が回る方向が磁界の向きです。

右手の法則では右手の親指を立てて握った時、親指の指先に向かう方向が電流の向きで握ったその他4本の指の向きが磁界の向きになります。

この後、高周波誘導加熱には磁界の向きが重要になってきます!








□加熱させるには交流電源!

磁界は周波数の数だけ交互に変わる(交番電流)

↑磁界は周波数の数だけ交互に変わる(交番電流[交番磁束])

上記に例を出した電磁石の様に乾電池で直流電流を流しても一定の方向に電流が流れ、一定の向きに磁界が発生するだけで、導線を巻いた釘は発熱しません。
誘導加熱するためには、磁界の中で加熱したい金属を動かすか、又は金属の近傍の磁界を急激に変化させなければなりません。

この磁界を急激に変化させるのが交流電流です。

交流電流は時間とともに周期的に大きさと向き(正負)が変化する電流(交番電流)です。1秒間に繰り返す回数を周波数と言います。

身近なところでは直流は乾電池、交流は家庭用コンセントです。家庭用は西日本では周波数は60Hz、東日本では50Hzで1秒間に60回(50回)大きさと向きが変化しています。
(直流電流は時間が経っても向きは一定)

高周波では家庭用電源よりもはるかに多く1秒間に数万回~数十万回変化しています。(数十kHz~数百kHz)
先にも触れましたが高周波誘導加熱には磁界の向きが重要といったのはここにあります。

交流で電流の大きさと向きが変わると磁界の大きさと向きもそれにつれて変化します。高周波では磁界も1秒間に数万回~数十万回変化しています。

なぜ磁界の大きさ、向きが変化すると磁界内にある金属が加熱されるかという疑問が出てくると思います。
ここからは少し専門用語も多く出てきて難しくなりますがご了承願います。



なぜ加熱されるのか?

誘導加熱 原理図

↑誘導加熱 原理図

磁束が変動する環境下に存在する導体(金属)に電位差(電圧)が生じると電磁誘導現象が起こります。
この電磁誘導によって導体(金属)内で生じる渦状の誘導電流を渦電流と呼びます。
誘導電流(渦電流)が発生する場合電流の流れる方向は誘導電流の原因を妨げる方向と一致します。(レンツの法則)

難しい説明になりましたが、要するにコイルに高周波電流を流し磁界を発生させ、その中に加熱する金属を置くと、その金属内にコイルに流した電流の向きと逆向きの渦電流が発生します。
加熱する金属の抵抗(R)と流れた渦電流(I)、どれだけの時間(t)流れたかによって、
ジュール熱(Q)=〔渦電流(I)2乗〕×金属の抵抗(R)×時間(t)というジュール熱が発生します。


これが誘導加熱の原理です。





□誘導加熱と周波数について

誘導加熱は電磁誘導を利用していますが、その電磁誘導を起こす電流の周波数によって、加熱の状況が大きく変わります。
直流電流では導体(金属)の断面積の全体に均等に電流が流れますが、交流では表皮効果が表れ、導体の表面に電流が集中して流れます。その程度を表す指標として表皮深さが有ります。

 表皮深さはδ=1/√(πfμσ)という式で表されます。
  δ:表皮深さ(誘導電流全体の約63%が流れる表面からの深さ)
  f:周波数  μ:透磁率  σ:導電率
  例:周波数50kHzでの表皮深さはおよそ 銅で0.29mm アルミで0.37mm 鉄で0.01mm

周波数による表皮効果比較

但し、ほとんどの金属は他の金属との合金となっており、それらの含有量により透磁率、導電率が変わります。また加熱されるとその温度によっても変化しますので正確な表皮深さを示すことはできません。
高周波では周波数が高くなれば表皮深さが浅くなり、実質的には導体(金属)の抵抗が増加したことになります。さらに電流の流れる断面積も狭くなり電流密度が高まり、導体(金属)の表面が集中して発熱することになります。

銅やアルミのような透磁率の低いものはある程度周波数を高めにして表皮深さを浅くしてやることで加熱効率を上げることができます。
(但し、銅やアルミは熱伝導率が高く深部まで熱が伝わることと、外気への放熱もあり加熱には多くのエネルギーが必要です。)




この件についてもう少し判りやすい解説は下記をクリック
※IHは『Induction Heating』高周波誘導加熱(電磁誘導加熱)の略称です。

→アルミ・銅はIHで加熱できるのか!?






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